フィジオーラは、2024年3月28日〜30日に北九州市で開催された「第101回日本生理学会大会」にて、「Reconstructing heart functions on a microfluidic chip」と題したポスター発表を行いました。本発表では、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞を活用した心臓チップの開発と、その応用可能性についての最新研究成果を紹介しました。
研究の背景
心疾患は世界的に主要な死因の一つであり、新しい治療法や創薬の開発が求められています。しかし、従来の動物実験ではヒトの心機能を正確に再現することが難しく、臨床試験での失敗率が高いという課題がありました。
これを解決するために、ヒトiPS細胞を用いた心臓チップを開発し、より生体に近い環境で心機能を評価する技術を確立しています。本研究では、マイクロ流体チップ上で心筋細胞の自発的収縮を再現し、薬剤応答の評価を行った結果を発表しました。
発表の概要
タイトル: “Reconstructing heart functions on a microfluidic chip”
開催日: 2024年3月28日〜30日
会場: 北九州国際会議場・西日本総合展示場(AIM)
薬剤評価への応用
β遮断薬やイオンチャネル阻害剤を用いた実験データ
発表内容
1. 心臓チップの構造と特性
2. ヒトiPS細胞由来の心筋細胞を用いた収縮モデル
3. マイクロ流体チップ上での拍動機能の再現
4. 心筋細胞の電気生理学的応答と機械的収縮の評価
今後の展望
1. 心臓チップと他の臓器チップ(腎臓・肝臓など)の統合
2. AIを活用した細胞応答解析の最適化
研究の意義と今後の展開
本研究により、ヒトiPS細胞を用いた心臓チップが、心疾患研究や創薬開発において有用なプラットフォームとなる可能性が示されました。今後は、他の臓器チップと連結し、全身的な薬剤効果の評価を可能にするマルチオルガンシステムの構築を目指します。
また、データ解析の自動化や、AIを活用した細胞応答の高精度解析技術の開発を進め、より迅速かつ正確な薬効評価システムの確立を目指します。
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